糖尿病の内服療法

1経口血糖降下薬
作用機序が異なるさまざまな種類があり、病態や合併症の程度などに合わせて、単剤もしくは併用で服用します。

種類 主な作用 主な副作用
スルホニルウレア(SU)薬 インスリン分泌の促進 低血糖、体重増加
速効型インスリン分泌促進薬
(グリニド薬)
より速やかなインスリン分泌の促進
食後高血糖の改善
低血糖
α-グルコシダーゼ阻害薬 炭水化物の吸収遅延による食後高血糖の改善 腹部膨満感、おならの増加、下痢
ビグアナイド薬 肝臓での糖新生の抑制インスリン抵抗性改善 胃腸障害
チアゾリジン薬 骨格筋・肝臓でのインスリン抵抗性の改善 浮腫(むくみ)、体重増加、心不全、骨折
DPP-4阻害薬 インクレチンの分解抑制によるインスリン分泌の促進、グルカゴン分泌抑制 鼻づまり、頭痛、めまい

 

 


●スルホニルウレア(SU)薬
膵臓からのインスリン分泌を促進し、血糖値を低下させます。1日1回、朝または1日2回、朝夕に服用します。非肥満者でより効果が高くなります。インスリン抵抗性が強い患者さんにはインスリン抵抗性改善作用がある第3世代が望ましい。


●速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)
SU薬と同じようにインスリン分泌を促進し血糖値を低下させますが、SU薬に比べて、血中への吸収と血中からの消失が速いため、効果が現れるまでの時間と作用が持続している時間が非常に短いのが特徴で、食後の高血糖を抑える作用があります。1日3回、食事の直前(5~10分以内)に服用します。それより前に服用すると、食事を始める前に低血糖を起こす可能性があります。


●α-グルコシダーゼ阻害薬
食事から摂取した炭水化物の分解を抑えることにより、小腸からの糖の吸収を遅らせて、食後の高血糖を抑える薬です。1日3回、食事の直前に服用します。


●ビグアナイド薬
肝臓での糖の新生や消化管からの糖の吸収を抑えるなど、膵臓以外に作用して血糖値を低下させます。体重を増加させにくいため、肥満を伴う2型糖尿病によく使われます。1日2~3回、食後(5~10分以内)に服用します。


●チアゾリジン薬
肝臓、筋肉でのインスリン抵抗性を改善します。脂肪細胞への作用もあります。肥満者で効果が高く、女性でより効く傾向にあります。アディポネクチンを上昇させます。


●DPP-4阻害薬
食事をしたときに腸管から分泌される「インクレチン」というホルモンの分解を抑制することにより、血糖値をコントロールする新しい機序の薬剤です。インクレチンは膵臓のβ細胞からのインスリン分泌を促進することとグルカゴンの分泌抑制により血糖値を低下させます。1日1回、服用します。