★☆分類・分布☆★
ユリ科の野菜。もとは宿根植物だが、一〜二年草として栽培される。中国西部の原産とされているが、野生種が発見されていないため、はっきりとしたことはわからない。「葱」の字は紀元前中国の文献にも見られる。中国、朝鮮を経て日本の伝来も早く、『日本書紀』『本草和名』にも記載があり、古くから野菜として利用されていたことがわかる。もともとは温帯の野菜だが、寒暑ともに強く、アジアでは寒帯から熱帯まで広く栽培されている。
★☆生態・形態☆★
高さ三〇〜六〇p、葉は中空の管状で、先はとがり、地中の葉鞘は幾重にも重なっている。初夏に葉の間からやはり中空の花軸を伸ばし、頂に白緑色の鐘形の小花を球状に集めた花序(俗にネギ坊主という)をつける。
★☆生産・流通☆★
ネギの品種には大別して葉を食用とする葉ネギと、葉鞘に土を寄せて軟白化し、その白い部分を食べる根深ネギがある。葉ネギは冬でもよく育成し、緑葉はやわらかく枝分かれが多い。京都九条で作られていた九条ネギを中心に主に関西で好まれている。一方、根深ネギは枝分かれが少なく、緑葉はかたくてあまり食用にはしない。江戸ネギともいわれ、千住系がその代表で、関東中心に出回っている。また根深ネギの一種で特殊なものに下仁田ネギがあるが、これは軟白部が短く太く、特に品質のよいものとされている。西洋ネギ、ポロネギとよばれるリーキは下仁田ネギそっくりだが、ネギとは別種。葉が扁平で日本ネギのように筒状ではない。日本ではあまり栽培されず輸入ものが多い。
★☆旬・目きき☆★
夏場の葉ネギ(根黄)に冬場の根白といわれるように、暑さに強い葉ネギは夏のもの、軟白部に養分を蓄積した根深ネギは冬の野菜である。どちらの品種も、葉は濃緑色でつやがあり、しおれていないもの、白色と緑色がはっきりしていて、白色部に弾力のあるもの、縮まっているものが新鮮で味もいい。多肉多汁で甘味があり歯切れのいいものが、いいネギの条件といえよう。
★☆調理・料理☆★
生で薬味やさらしネギ、またみそ汁や吸物の実に、鍋物に、さらに炒め物や油、肉、魚のにおい消しにと、その特性を生かしたさまざまな利用法がある。
★☆文化・歴史☆★
ネギの漢名は「葱」。これを和名で「き」といったことから、ネギを別名「一文字草」とよぶようになった。当時、宮中ではこのほかにも杓子を「しゃもじ」、あなたを「そもじ」というような文字詞ことばが流行していたのだという。同じ中国から伝来したニラにも「二文字」という呼び名がある。日本でネギの名前が初めて登場するのは、『日本書紀』の仁賢天皇の六年(四九三)の記述で「秋葱」という言葉が出ている。また『本草和名』『延喜式』にも、ネギの説明と栽培法が記されている。ネギは古代には神事や祭事のときに神に捧げる野菜として使われていたらしい。祭りの御興や橋の
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