第63号  高機能自閉症の所属感について
 
清水 聡  福井県立大学学術教養センター助教授(2004年)

 最近、自閉症、中でも高機能自閉症あるいはアスペルガー障害と診断されるお子さんと接する機会が多くなってきました。そこで感じられる彼らの集団への所属間について書いてみます。
 高機能自閉症(およびアスペルガー障害)とは、社会的に質的な障害を示す一群である自閉症の中でも知的に遅れのないものを指し、最近では自閉症全体の半分以上を占めると言われており、多くは通常学級に所属しています。彼らの社会性の障害は、学校の中では他児とうまくかかわれないとか、集団活動からはずれて一人だけでいるというような形で見られることが多いです。しかし、ここで誤解してはならないのは、彼らは決して一人でいたいわけではないということです。彼らはかかわりたいけど適切なかかわり方を知らないためにうまく他人とかかわることが出来ず、結果として一人でいる状態になってしまう、という捉え方が正しいものです。一人でいるという結果だけを見て、自閉症児は一人でいるのが好きなのだと決して言ってはいけません。彼らは、どこかに所属したい、独りぼっちではいたくないという欲求を他の子どもと同じくらいもっています。ただし、彼らは認めてほしいが、あまり干渉されるのも嫌いです。自分のペースをある程度保証されてもらいながら生活したいのです。彼らのもつこのような「常識」は、通常の集団の常識では「わがまま」としか見られません。
 学校以外の場所で彼らを集団で指導していると、学校で休み時間には誰とも口をきかないような子どもが、そこでは生き生きとした表情で他児とかかわるのを見かけます。あるいはそこで初めて友だちが出来たという子がいたりします。こんな様子を見ると、彼らが所属感を味わえる集団は通常の集団ではなく、特別に編成された集団あるいは特別な配慮の行き届いた集団なのだなと感じます。
 これから特別支援教育も始まります。ここまで述べた高機能自閉症児の特別なニーズに配慮した対応がなされ、彼らの生き生きとした姿が見られる学校が出来ることを期待しています。