第61号  これからの特別支援教育
 
田地 哲夫  福井県特殊教育諸学校長会長 (2003年)

 養護学校の義務化により、心身に障害のある全ての児童生徒の教育の機会が確保されて二十数年、ようやく、社会から養護学校の存在が認められ、そこに学ぶ子どもたちに温かい視線が向けられる昨今です。
 その間、各養護学校は、子どもたちの障害の状況や程度に合わせて手厚いきめ細かな指導の充実に努力し、子どもたちはもとより保護者の熱い期待に応えてきました。しかし、一方では、年を追って障害の重度重複化・多様化が進み、多様な取り組みが求められると共に、ノーマライゼーション(障害者の社会生活保障)の考えが学校教育にも波及し、教育活動にも児童生徒一人一人のライフサイクルを視野に入れた取り組みが迫られてきました。
 こうした障害児を取り巻く社会環境の大きな変化の中で21世紀を迎え、特殊教育は、より質の高い教育を目指して一層の充実が求められてきています。
 多様化する児童生徒「一人一人の教育的ニーズ」を的確に把握して、適切な対応・支援を計画的に継続的に実践する「個別支援教育」としての位置づけは画期的です。
 そして、本年度から実施されている個別指導計画や移行支援計画、児童生徒が主体的に生きるための基本的な力を育てる総合的な学習の取り組みは、着実に推進されていくものと考えられます。
 また、30年ぶりに改正された就学基準は、
LDADHD・高機能自閉症を含めた障害児の一人一人への適切な支援という立場から、それぞれのニーズに合わせて弾力化されたことへの意味と課題は大きいように思われます。
 このように、特殊教育の充実発展は、短期間のうちに飛躍的に進められ、それに関わる教師は、日ごろの子どもたちとの学校生活・コミュニケーションを通して、よき理解者であり、共に生きる者としてこの教育の基盤を培ってきたといえます。今後は、「より質の高い特殊教育の実現」を目指して、教師自らが専門的な知識や技能の向上に努力することに加え、子どもたちの強力な支援者としての意識で、保護者の相談等にも親身になって対応していく姿勢が求められています。