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今の学校には、ゆとり教育と学力向上論の対立などで教育指針が流動的な中、様々な気がかりな問題を抱えた子どもがいます。不登校や素行不良など、いわゆる「非社・反社」と呼ばれる問題はその典型ですが、それほど深刻に見えなくても、学習や行動面で気がかりな状況を示す子が増えています。その中に、軽度の障害を持つ子どもたちの存在が知られるようになりました。代表的なのが、学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、そして、高機能広汎性発達障害(HPDD)です。
ここで詳細を述べる紙面はありませんが、それぞれ、学習の遅れ、落ち着きのなさ、対人関係の希薄さ等を主症状とする発達障害で、医学的には明確に区別されています。しかし、各症状を少しずつ併せ持つ子も多く、治療・教育の面では、三つを総合的に配慮した対応が重要と考えられます。 彼らに共通するのは、@全般的発達の遅れがなく通常学級に在籍していること、A生来的な認知の偏りがあって学校生活で何らかのつまずきがあること、B軽度の脳障害に起因するものがあって、教育環境や本人の意欲・性格特性の問題ではないこと、Cそして何よりも、今まで障害とは認められていなかったことです。
障害は軽度で健常との境界にあり、個性の範囲とも言えます。しかし、その個性は生活上で不都合なことが多く、通常の教育手法では対応できない意味で「特別な配慮と支援が必要な個性」なのです。昨年、文部省から21世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究報告が発表され、従来の特殊教育と通常教育の垣根を越えた「一人一人のニーズに応じた教育支援」が提唱されていますが、三つの障害は、その先駆的役割を担うと言えましょう。
彼らは高い潜在能力がありますが、他の子と発達の仕方が違うため誤解されがちです。周囲の無理解が様々な問題行動を生む反面、個人に合った教育の工夫で大きく伸びる可能性があります。大切なのは障害のレベルではなく、問題の原因を考え、その子を理解する努力です。基本的な支援方針は、各学校での個別指導がベストですが、現状では困難でしょう。従って、教員や保護者が相談できる機関が不可欠で、その意味で、特殊教育センターは大きな役割を果たすと期待されます。
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