第37号  大切にしたいこと
 
小西 薫  福井総合病院小児科・小児神経科医長(1993年)
 朝、スタッフ会議を終えて診察室に向かう途中、何組かのどんぐりっ子とお母さん達に出会います。「元気そうだな。」「機嫌が悪いな。自分のつもりがつぶされたからかな? 体調が悪いのかな?」等思いながら、診察室に向かいます。
 「生き生きした毎日であるように。」これが、私が「大切にしたい」と思っていることです。発熱や咳等に対する治療も、てんかんの治療も、この「生き生きした毎日」を保障する為です。毛布に包んだり、ママブランコ等で揺さぶり遊びを調節して行うと、子供達を快適な世界に導きます。子供達が楽しめる多様な対応を考えたいものです。動き回る子供達はどうしても規制を受けることが多いのですが、園や学校等比較的受け入れる条件のある所で身体を思い切り動かし、その後、静的な活動に取り組めると良いですね。
 「常同行動」等は、色々な外界刺激をうまく受け止め、自らの活動を造り出せるようになると自然に減りますし、少しあっても、それは子供の情緒安定の為に必要だという見方が出来れば、むやみに規制することが少なくなってお互いに毎日が過ごし易くなるのではないかと思います。肢体不自由がある場合は、合目的活動は、所謂「正常パターン」で行うことが合理的なので、訓練目標を「正常パターンの獲得」といたします。しかし、機能障害の状態によっては、補助具等の使用や、環境を変えることによって、「生き生きした毎日」を保障することが必要です。また、診断や指導の際には、お母さんの行動を否定することなく、育児に最も大切な安心感や、支えられているという思いが育つように配慮しています。子供達の変化が見えるように援助することも大切です。また、多様な療育、教育が用意されて、色々な生き方、育て方が選択できるようにしたいものです。
 「生き生きした毎日」である為にどんな事が必要なのか、お薬の処方以外にどんな処方が必要なのかを考えることから、毎日、仕事をしています。