第33号  互いの理解と助け合い
 
山田 一朗  福井県特殊教育諸学校長会長(福井県立福井養護学校)(1992年)
 特殊教育、または、障害児教育では、自分が障害児だったらとか障害児の親や家族だったらどう考えるだろう、どう思うだろうという思いやりの心を持つことが大切なことである。
 このような気持ちを持ち続けながらこの教育に携わっていると、他からの不用意な言動が気になり、反発を感じるのも無理はない。単に、「御苦労さん」とか、「大変ですね」といった言葉がけが、白々しくいや味に聞こえてくる。言っている本人は何も気付かないのだろうが、本当に心の底からそう思い尊敬の念を持っての言葉なら、他に言いようがあろう。
 「あの子、○○ができるようになったよ。先生の指導が実ったのね。」「今日○子さん、一生懸命お掃除してましたよ。」「先生の組の子最近明るく素直になったと思うけど、大したもんね。」とは言えないものだろうか。また、管理職なら、「子供たち、先生を本当に信頼してなついているね、御苦労さんだけれど頑張ってね。」とか「保護者の方達、先生にお世話になっていることとても喜んでおられます。この子たちのために励んでね。」とも言えるだろう。
 表現力の不足というか、単に挨拶がわりの軽い気持ちで言っている言葉が、かえって逆効果になってしまっているケースが多い。最初から特別な被害者意識で受け止めることにも問題はあるが。
 人は皆、社会のどのような場にあっても、それぞれの仕事に誇りを持って努力していることを忘れてはならない。自分がこの仕事をしなければならないという意識で、互いの立場に理解と助け合いの心を持つことが必要ではなかろうか。
 この特殊教育センターだよりの誌名「すくらむ」は、特殊教育対象児もその師も互いに良い意味での「すくらむ」を組み、この世に生きる最良の道を招くという意味と解する。
 センターを中心としで情熱溢れる素晴らしい先生方との密接な連携により、本県の特殊教育界の一層の発展充実を望みたい。