第29号  地域社会とともに
 
野尻  勇  福井県心身障害者コロニー若越ひかりの村 所長(1990年)
 昭和54年度から実施された養護学校の義務化は、地域社会の中で障害児が家族との一体感が強められたと考えられ、その結果地域単位の小規模施設が各地にできて、在宅福祉と密接にかかわっている。そして一方では、入所型の施設のあり方が問われている。
 利用者のニーズが多様化し、社会一般の施設に対する認識も大きく変わりつつある今已、施設運営もこれらに対応できるものに変わっていかなくてはならない。一度施設に入所してしまえば生涯がそこにあるといったものではなく、入所者の多くが積極的に地域社会での生活を志向するケースマネージメントが必要である。施設側の積極的な努力と地域の人たちの福祉に対する考え方が相まって一人ひとりの人間として認め合う「ふつうの人」の暮しが実現できるのである。保護者のニーズのみに施設の存在価値があるのでなく、入所者自身の生涯の生き方を基本に考えるべきものであって、施設に入れてしまえばこと足りたという偏見は無くしたい。
 施設入所者の停留化が言われて久しいが、入所者の実態が養護性の強いものであるだけに、生活や発達を保障する場の確保が無い限り、その解決にはならない。最近小規模の施設が各地にでき、グループホームも序についたばかりではあるが、こうした整備は地域社会の中で生活を志向する入所者らにとって極めて大きい意味がある。そして今後も一層の充実が期待され、施設自体も地域での療育活動等を中心にしながら在宅福祉との連携を一層深めていく必要を感ずる。
 新しい時代に即応した地域社会の中に生きる福祉システムの担い手の一翼であるという施設の役割を十分認識しながら視野の広い活力をもった魅力のある施設になるよう一層の努力を重ねたい。