第23号  養護学校義務制施行10年にあたって
 
加藤 毅  福井県特殊教育諸学校長会長 (1989年)

 養護学校の義務制が実施されて、10年を経過しようとしています。県特殊教育諸学校長会では、10年の節目に当たって「校長会10年の歩み」を記録に留め、今後の福井県での特殊教育のあり方を求める1つのよすがともなればと思って、今編纂中です。この編纂の作業の中で、先日歴代の元特殊教育諸学校長会長さんにお集まりを願って、当時を語っていただきました。義務制に入る準備段階から義務制初期の頃には、学校を作ること、児童・生徒を集めること、学校での指導はどうするか、それにできて間もない養護学校ですから、養護学校について偏見や誤解も多く、養護学校を世間に啓発しながら、どの仕事もゼロからのスタートであったということです。今日は学校も概ね整備されたし、教職員も当時に比べて必要とする職種も増え、配置数も徐々に増していただきました。就学指導についても、組織的に整備されました。また、本県では全国に先駆けていち早く特殊教育センターが設置され、センターを中心として各種の業務がそれぞれの機関と連携して進行されるようになりました。特殊教育の仲間の中からも人材が育って参りました。本当に、10年間のうちに特殊教育に携わった人々の一歩一歩の努力の積み重ねによって、現在の姿があるのです。改めて、先人の御苦労に感謝を申し上げる次第です。
 さて、義務制以来入学児の障害は重度・重複・多様化が進んできた中で、現在の各特殊教育諸学校が将来において、教育機関としての機能を十分発揮し発展していくためには、私たちは、もっともっと真剣に考え取り組んでいかなければならないと思っています。
 重度化に対応する指導法は、各障害別校種毎に研究が進みました。しかし、重度化・多様化に対しては校種の枠にとらわれていては発展が難しい、従来の発想に基づく教育指導のみでは硬直化してしまう、重度化と相まってこれが学校の活性化を妨げる要因になりはしないかと、ひそかに憂慮しています。各校種毎に築き上げてきた伝統的な教育指導を、他校種間で交換・吸収し、更に新しい発想を受容できる研究のシステムが欲しいと思います。義務制により初めて入学した子どもたちは、今春義務教育を終了してしまいました。過去10年間に入り口は確立しましたが、義務教育終了後の出口の問題はまだ十分とはいえません。これこそ、教育・福祉・労働の三者連携の中で検討を進めていかなければならない問題であると考えています。