参政権裁判

 

     


在日外国人の基本的人権の一つとして選挙権があげられます。憲法で「住民」に保障された選挙権が認められないのは違憲であるといくつかの裁判が提訴 されました。

ヒッグス アラン氏の裁判
金 正圭氏たちの裁判
李 鎮哲氏たちの裁判
在日党の活動
コリアン人権協会の活動

 


ヒッグス アラン氏の裁判

国政参政権
○1989年11月17日 国政参政権を求めて提訴。

 1991年3月29日 大阪地裁 請求棄却
 1992年7月31日 大阪高裁 控訴棄却
 1993年2月26日 最高裁 上告棄却。
地方参政権
○1991年4月22日 地方参政権を求めて提訴。
 1994年1月28日 大阪地裁 請求棄却。
 1995年1月31日 大阪高裁 控訴棄却。
 1995年4月25日 最高裁 上告棄却。
 
解説

ヒッグス アラン氏は国政参政権も地方参政権も同様に考えうるとして両者について提訴した。 選挙権は民主主義の実現に不可欠な基本的人権である。社会構成員が代表民主制を通じてその政治決定に従い、納税等の義務を負わざるをえない以上、政治決定 に参加できることが民主主義の基礎である。従って選挙権の根拠は国籍の有無ではなく、その社会の構成員であることであるという論拠である。

 判決は外国人の人権には、その性質により保障されるものとされないものがあり、参政権は国家を前提とする権利であるので国民にのみ 保障される。地方参政権についても地方公共団体は国の規制をうけており、国民主権(国籍を有する)原理に基づくとした。


金 正圭氏たちの裁判

地方参政権
○1990年11月  大阪地裁に地方参政権を求めて提訴。
 1993年6月29日 請求棄却。
 1995年2月28日 最高裁 棄却 
 
解説

憲法では「住民」である外国人にも地方参政権が保障されていると提訴した。地裁判決は、「仮に定住外国人に参政権を付与する事が憲法に違反しないとの立場 をとりうるとしても、これを付与するか否かは立法政策上の問題」と憲法判断を避けた。

 最高裁判決は「選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である。」そして、これも 立法政策上のことであるとして、違憲とはいえないとした。


李 鎮哲氏たちの裁判

原告 李 鎮哲(イ ジンチョル)氏

    鄭 慶讃(チョン キョンチャン)氏
   薛 文昊(ソル ムノ)氏
   朴 漢圭(パク ハンギュ)氏
地方参政権
○1991年5月2日 福井地裁に提訴
 1994年10月5日 地裁判決 棄却
 1996年6月26日 高裁判決 棄却
 2000年4月25日 最高裁判決 棄却
 
解説 

この裁判では、ほとんど国側の主張にのっとった形で判決が下された。すなわち住民は国民でなければならないとした。そして、市町村のレベルについて定住外 国人に選挙権を認めることは憲法の許容する範囲との見解に立つとしても、認めるか否かは立法政策の問題とした。大阪地裁の判決とほぼ同様のものである。
 福 井訴訟の高裁判決は、一審で認められた訴訟のやり方を却下とした面が後退であり、実質的な内容でも棄却であり、一審判決や大阪訴訟での最高裁判決の枠内に ある。
 最高裁判決は原審(高裁判決)を妥当として、上告を棄却した。
     

在日党の活動

李 英和氏は選挙に立候補すると言う行動を通じて、外国人による外国人のための政党「在日党」を結成してしまった。また外国人が選挙運動をで きる(強制退去されない)ことを証明した。しかし、肝心の立候補は、戸籍謄本がない、そして、外国人登録証では本人の確認ができない?!と受理されなかっ た。だが果敢にも全国数カ所で立候補の試みを行い選挙活動を繰り返している。 またこの立候補についての被選挙権を求める裁判をおこしている。
参院選裁判
  
○1993年2月18日 大阪地裁提訴
 1994年12月9日 地裁判決  敗訴
 1996年3月27日 大阪高裁判決 敗訴
 
解説  1992年7月 在日党の李 英和氏の参議院選挙立候補届け出の不受理を違憲として提訴した。この裁判では国政レベルでの参政権を求めたものである。 

地裁判決は「国民」=「国籍保持者」の線を一歩も崩さなかった。高裁判決でも国際B規約についても「市民」=「国民」と規定した。また旧植民地 出身者についてはふさわしい処遇を受けるよう十分配慮すべきであるといいながら、参政権以外の分野の人権に関してであるとする。
 

政党助成金法違憲訴訟
  
○1995年7月19日 提訴(第1回交付前日)
 1997年2月20日 地裁判決 敗訴
 
解説 

原告は75名。政党助成金そのものの存在が大きな疑問がある上に、現在参政権を認められていない在日外国人にまで等しく負担させる法律である故、特に不合 理性が顕著である。「助成金を出させるのなら参政権を認めよ」と主張している。

判決は原告としての資格がないうえ、選挙権・被選挙権がなくてもその苦痛を賠償する対象にはならないと却下された。
 



在日コリアン人権協会の活動

民闘連(民族差別と闘う連絡協議会)を発展改称し改組したものである。近年参政権問題にも粘り強く取り組んでいる。
100人訴訟
○1995年4月7日 大阪地裁へ提訴
 1997年5月28日  大阪地裁判決 敗訴
 
 解説 

洪 仁成氏を代表とする118人が地方参政権を求めて違憲訴訟を起こした。選挙権と被選挙権の両方を含む地方参政権をもとめている。これは金 正圭氏らの 裁判の最高裁判決で投票権についてのみ言及して憲法の許容範囲内としたためである。
 

訴えは却下されたが、判決は”選挙権”としており被選挙権も含めて判断したと解される。

 

















 参考

 韓国では2005年 3年以上居住している永住資格をもつ19才以上の外国人に地方選挙権が認められた。


参考文献
「共生社会への地方参政権」      徐 龍達編  日本評論社 
「在日韓国・朝鮮人と参政権」     李 英和著   明石書店
「外国人参加は地方自治権の確立の道」 李 鎮哲 朝日新聞95年2月27日論壇
新版「外国人参政権と国籍」        近藤 敦    明石書店

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