国籍条項撤廃に関する公開質問状の回答

  1.  質問事項
  2.  各自治体の回答(空白は回答しなかった市町村)(一部市町村は地震災害を被っています)
  3.  当会の見解(準備中)
  4.  国籍条項撤廃の申し入れ書

1 質問事項


 

1 国籍条項がある理由は何でしょうか。

2      今まで国籍条項を廃止すべきか検討されたことはありますか。

3      もし国籍条項を廃止して不都合なことがありそうだとしたら、それは何かお教え下さい。

4      国籍条項を今後廃止する予定はありますか。

5 いわゆる定住外国人は納税の義務はあっても、地方参政権はなく、納税した税がどのように使われるか行政に自らの意見・希望・意思等を反映させることを阻まれています。

この差別をどのように解消されようとしていますか。


2 回答

市町村名 国籍条項の存在理由 廃止についての検討 廃止を阻止するもの 廃止予定 外国籍住民の

意見の反映

福井県
公務員の任用に関する基本原則に基づき、公権力の行使または公の意志の形成への参画に携わる事が想定される職に限り、国籍条項が設けられていると考えています。
本年度までにやっく7割の職種について国籍条項を撤廃してきています
許認可業務など公権力の行使に携わることが想定される職種については、職員の秒無内容やポストに一定の制限を加える必要が生じるなど、人事管理上課題があると考えています
職員の採用に当たっては、公務員の任用に関する基本原則をふまえつつ人事委員会とも十分に協議しながら、検討していきたいと考えています。
定住外国人の参政権については、国の根幹に関わる事柄であるので立法政策上の問題として国会において十分議論する必要があると考えています。

 
石川県

市町村名 国籍条項の存在理由 廃止についての検討 廃止を阻止するもの 廃止予定 外国籍住民の意見の反映
石川県
平成17年1月26日の最高裁判決で示されたように「公権力行使等地方公務員」には日本国籍を有するものが就任することが想定されている現状において「公権力行使等地方公務員」に該当する職種および将来該当する事が予想される職種に、日本国籍を有しないものを採用することは、本件の将来にわたる人事管理の面で、重大な支障が生ずるからです。
本県の行政サービスを担当する職員として、外国籍の住民に門戸を広げていく事が望ましいとの考えから、「「公権力行使等地方公務員」に該当する職種、及び将来該当する事が予想される職種をのぞき。、国籍要件の撤廃が可能なものがないか検討して参りたいと考えています。
左のとおり
左のとおり
いわゆる定住外国人の参政権については、「専ら国の立法政策に関わる事柄」であるとされていることから(平成7年2月28日最高裁判決)、広く国民のコンセンサスを得た上で、国会において立法的解決が図られるべきものと考えています。
金沢市
本市においては公権力の行使または公の意志の形成の参画に携わるものについては、日本国籍が必要であるとの昭和53年の内閣法制局の見解を基本とし、行政職、消防士、獣医師、および薬剤師については国籍条項を存続させている。
これまでも検討を重ねながら、撤廃できる職種は段階的に撤廃している。また、げんざい国籍条項を存続させている職種の取り扱いについては平成17年から庁内検討会を開催し、研究しているところである。
1)でも回答したとおり公権力の行使または公の意志の形成にたずさわるものについては日本国籍が必要であると考える
今後、国の考え方や、石川県の動向を注視するとともに、これまでに完全撤廃している他市町村の状況なども調査しながら、慎重に判断したい。
納税義務を有する等、居住する地域の地方公共団体と密接な関係をもっていることを考慮すると、在日外国人の方々の意見・希望・意志等が地方公共団体に反映される事は必要であると考えている。また参政権については、現在の法において「日本国民が選挙権を有する」と規定されていることからも、直接それが差別とは考えていない。
白山市
これまで、国の制度や考え方に準拠し、採用に関し国籍条項をもうけてきました。
専門資格の採用に関し国籍条項廃止に向け検討してまいりました。
国籍条項を完全撤廃することでの人事管理面の影響について、どのような点がかだいとなるのか調査・研究していきたいとかんがえています。
専門誌各所空主の採用に関し国籍条項を廃止したところですが、一般職種の廃止については、県やたの自治体の動向を踏まえ今後も調査研究をつづけ、検討してまいりたいとかんがえています。
白山市議会として「定住外国人の参政権付与に関する意見書」を国会や関係省庁に提出し、改善を要望しています。
小松市
「公権力の行使」と「公の意志の形成」「統治作用」に関しての問題
現状と今後に関して検討している。
左記
国、県の状況を基準に検討したい
(記入なし)
加賀市
かほく市
国籍条項はありません
羽咋市
七尾市
平成16年101月1日に1市3町が新設合併して以来職員採用を行っていない。検討していない
1地方参政権は国の参政権と別に取り扱うべきとの意見もあるが、地方自治体の扱う問題の中には国の基本方針と密接に関連するものであり、国と地方を単純に切り離して勧めることはいささか無理がある。
2 納税は公共サービス(道路・水道・消防など)を受ける対価であり、参政権とは直接結びつかない。
3 各自治体も参政権については進んでおらず、今後各自治体の様子を見ながら当市も検討してゆきたい
4 立法による速やかな対応を求めている
(特記 日本国憲法第15条、第93条)
輪島市
能美市
珠洲市
従前からの国の考え方に倣ったまま、特に検討を行ったこなかったことが現状です
特にありません
地方特有の”行き過ぎた地元優先感情”が本市にもあり在日外国人を一般職として採用した場合、行政及び採用された在日外国人に対する市民からの感情的な批判中小が多分に予想される。
左記により、いきなり全職種で国籍条項を撤廃することには抵抗がありまず、医療職について国籍条項を撤廃できないかを検討していきたい
今後の検討課題としたい
内灘町
川北町
志賀町
津幡町
中能都町
能都町
以前の国や県の対応をもとに慣例的に取り扱ってきています。
全国的に各自治体で国籍条項を撤廃する動きがあることは承知しています。国でも議論されているように、能都町で不足する職種(看護師等)からでもとにかく検討を始めていけばとかんがえています。
地域住民再ービスの提供や生活安全(災害等の緊急時)の確保等にどのような支障が生じるかわかりませんが、お互いの理解と信頼にまだ不安定感があるのかもしれません。
国の今後の対応や全国的な動きを身で議論を重ねていきたいと思います
今後、各地域の中でも国政的な交流が広まり、相互理解がすすむことにより。解消されていくことを期待します。
野々市町
過去において「当然の法理」とされ、平成17年1月最高裁判決でみとめられた「合理的な理由に基づく区別」によります
あります。平成18年度採用から保育士職について廃止となりました。
地方公共団体にあっても国家としての政策にも続いた職務上の公権力行使ができる職に、外国籍(他国に帰属する)の人を任用することは、日本国に限らず、独立国家として不都合と解します。
 また日本国籍取得(帰化)により日本国への帰属が可能である状況の方については、本人の自由意志による選択をした結果であると解します。
現状どおり
納税は、日本国籍のかたにとっても行政サービスやインフラ使用の費用負担(対価)でありそれをもって参政権があるわけでなく、これもまた日本国に限られた特殊な事例ではありません。
宝達志水町
穴水町


富山県

市町村名 国籍条項の存在理由 廃止についての検討 廃止を阻止するもの 廃止予定 外国籍住民の意見の反映
富山県
国家が厳然として存在し、国境があり、国民という概念がある以上、国、地方団体を問わず、公の権限を行使する公務員には国籍が必要な場合もあると考えられるため。
本県では、一般に専門的、技術的業務であった、公権力の行使または県の意志の形成に参画する蓋然性の低い職務につきましては、職員の採用試験の受験資格に国籍条項を設ける必要がないとかんがえており、こでまで、看護師、保健師、助産師、介護職員等の職種については国籍条項を設けないこととしている。
左記の通り
現在の法秩序を踏まえ、また国kせいかの進展等を見据えながら、具体的にどの職kしゅについて日本国籍を必要とするのか、またしないのかについて、人事委員会とも協議しながら検討する必要がある。
無回答
富山市
本市においては昭和28年の内閣法制局が出した見解(公務員に関する当然の法理)にも続き、一般の事務職・技術職等の「公権力の行使」または「公の意志の形成への参画」に携わる職種については日本国籍を有することを要件としております。
本市においては、職員採用試験を実施する都度、それぞれの職種について日本国席の必要性について検討を行い、これまでにも日本国籍を要しないと判断される職種については国籍要件の撤廃を実施しております
一般の事務職及び技術職については、日本国籍を有しない職員を採用した場合、公権力の行使等を伴わない部署への配置や昇進の制限など人事移動の制限を設けることになり将来の混乱を招くおそれがあることから、現時点での当該職種に対する国籍要件の撤廃は困難であると考えています。
左記のとおり、これまでにもそれぞれの職種について日本国籍の必要性について検討を進めているところであり、、今後も慎重に検討を重ねてまいりたいと考えております。
ご指摘の点については、事実としての認識は持っておりますが、外国籍居住者にたいする職員採用の問題とは別個に議論される問題であり、職員使用担当の見地から意見を申し上げることは妥当でなく回答は差し控えます。
魚津市
滑川市
黒部市
高岡市
日本の国民に対し公権力を行使したり、地方公共団体の意思形成に携わる職については日本の国籍を有することを採用条件とすることは妥当であると考えている。
国の有権解釈や判例を検討の上、左記の認識と齟齬を来さないと判断した職種については国籍条項を外している。
外国籍を有するものが公権力の行使に携わる公務に就くことは日本国憲法が規定尾する国民所見の原理に抵触し、公務員制度の本質に関わる問題である。
ない
差別であるとは考えていない。意見や希望などについては不服申し立てせいどや情報公開制度などもあり権利や機械は保証されていると考えている。
射水市
公務員に関する「当然の法理」として公権力の行使または公の意志の形成への参画に携わる公務員には、日本国籍が必要であるため
なし
左記と同じ
現時点ではありません
納税は道路や消防警察等公共サービスの対価であり、参政権とは直接関連がないものとかんがえています。
小矢部市
公権力の行使または公の意志の形成への参画に携わる職につくことが将来予見されるシ職員採用試験において日本国籍を有しないものにも一般的に受験資格を認めるのは適当でない。(昭和48年5.28自治省公務員第一課長回答)
なし
左記の自治省回答に反する
なし
わからない
砺波市
法制意見、行政実例に依っています
合併前の砺波市において漸次検討し、一般事務職を除くすべての職種を廃止してきたものであり、合併後の新砺波市においてもその判断を受け継いでいるものです。
法制意見や行政実例にあわないこと
すでに一般事務職のみ制限する形をとっており。県などの動向などを参考に検討していくことになります。
税には国税もあり、また国政への参政権とも関連して幅広く論じられるべきものと思われ、まずは国において検討されるべきものと考えます。
氷見市
自治省(総務省)は「当然の法理として、公権力の行使または公の意志の形成への参加に携わる公務員には日本国籍が必要という昭和28年の内閣k法制局の見解を根拠として、外国籍の任用はできないとの考え方を示してきましたが、平成18年11月に国籍条項の「条件付き撤廃を」容認したことから、氷見市においても一部職種について、国籍条項を撤廃した。
職種の業務内容によっては必ずしも国籍条項は必要でないことから、それぞれの職について検討した。
国籍条項を撤廃した自治体においても採用後の管理職への任用について制限を加える自治体もあることから、採用後の任用について慎重に対応する必要がある。
国及び県の考え方を参考にしながら今後検討してゆきたい。
定住外国人の参政権につきましては、現在の法において「選挙権を有するのは日本国民」と規定されていますので、氷見市独自でその権利をみとめることはできないと考える。
朝日町
国の人事院規則8-18に規定されていることや、富山県の採用条件に準じている。
特に検討したことはない
国の規定や富山県に準拠していることから
国、県及び他市町村の現状、動向をふまえ検討していきたい
左記と同様
入善町
1953年内閣法制局の見解及び国の人事院規制に準じていることから
ありません
左記のとおり
国、県、他団体の状況等をみて、検討していきたい
国、県、他団体の状況等を踏まえたい
上市町
舟橋村
(国籍条項なし)
-



3 当会の見解 準備中


4 完全撤廃の申し入れと公開質問状 

         様
2007年3月10日
在日外国人の参政権を考える会・福井
     代 表 嶋 田 千 恵 子

職員採用・任用における国籍条項完全撤廃の申入れと公開質問書

 日頃より政務に御精勤、御精励されている貴職に心から敬意を表します。
 私達は1991年福井県の在日韓国人4名が『定住外国人に地方参政権がないのは違憲』との訴訟を福井地裁に起こしたことを契機に、在日韓国・朝鮮人らの定住外国人に対する民族・国籍差別の実態を直視すると共に、それらの解消にむけて微力ながら活動を続けている市民グループです。
 貴職は、すでに180万人以上といわれる在日定住外国人の1/3を占める韓国・朝鮮人が、その歴史的背景により日本への定住を余儀なくされ、戦後補償からも除外されたまま長年制度的・社会的差別にさらされている現状をどのようにお考えでしょうか。
 国籍の有無によって受験させない事を長年慣行としてきた企業に対し、それは就職差別であり、廃止すべきであると指導すべき地方自治体が国籍条項を設けて率先して差別を行っているのが現状です。国籍に拘わらず受験でき、どの職務にも就ける〔公務就任権〕を保障することは、地方自治法の本旨が住民の福祉である以上、この本旨にかなったものです。地方自治体が自立して決定すべきものです。
 私たちは貴市・貴町の国籍条項の完全撤廃を、強く要請するものです。私たちは国籍による一切の制約(職種と昇進)を排除した完全撤廃を求めます。
 ご承知の様に国籍条項で外国人の受験を禁止する法律はありません、それは単に法制局の「見解」に過ぎない「当然の法理」というものだったのです(1953年)。曰く、公権力を行使すること、曰く公の意思の形成に参画することを禁止するのは当然だ、という見解でした。この呪縛が今でも継続しているわけです。
 しかし、その後70年代に阪神間の各市で、一斉に全職種の国籍条項が撤廃されています。そして ’96年11月当時の白川自治大臣は「採用は各自治体の判断にゆだねる」として『当然の法理』論による排除論を否定し、「外国人の採用機会拡大に努力いただきたい」との談話を発表しました。
 都道府県レベルでは ’97年以降11府県、中でも高知県では消防職を含めた全職種で撤廃しました。さらに全ての制令指定都市で国籍要件を一般事務職から廃止しております。堺市は任用制限も全くない完全撤廃を決定しています。
 石川県内、富山県内の各市町村を比較されるとまだまだ隣も国籍条項があるじゃないかという発想になろうかと思いますが、他県へ目を向けて頂くと、京阪神以外の神奈川県、愛知県、奈良県、滋賀県でも市のレベルでは全て廃止されています。
北陸の一郭を占める福井県では本年度の受験から市のレベルでは国籍条項がありません(任用制限が付く市はありますが)。
 
 今や「当然の法理」は崩壊しています。公権力行使の最も端的な駐車違反摘発は「民間」企業が行っています。刑務所機能の民間化も検討されているのが現状です。
また外国籍住民の意見をどのように反映させようと各自治体が智慧を絞っていろいろな制度を考えています。「住民投票」に外国籍住民を含めるのは当然の時代となってきました。
 このような状況を真摯にうけとめ、国籍条項は就職差別である事を心に銘記され、国籍条項を完全に撤廃して頂くよう要望いたします。


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