川崎市の外国籍職員の任用制限撤廃の申し入れと回答

川崎市長    安部 孝夫様

 

2007年 2月 7日
在日外国人の参政権を考える会 福井 
代表嶋田 千恵子
職員採用後の任用制限の撤廃について
 
 大都市 川崎市の市政に携われ日頃激務をこなしておられると存じます。
川崎市は1996年 制令指定都市として初めて国籍条項の廃止に踏み切られ、それは全国的に大きな影響を巻き起こしました。その後 東京都23区をのぞく全制令指定都市で国籍条項は廃止されました。
 このように、川崎市が先例となり多くの都市で国籍条項についての取り組みがなされその先駆者としての川崎市の評価はゆるぎません。
 しかし、「外国籍職員の任用に関する運用規定」が作られ、非常に多くの職種が制限をされております。その中にはその意義が客観的には疑われるような職種まで包含されています。また昇任にさいしてもいわゆるライン職は管理職に登用されないと明記されております。これは、労働基準法第3条と職業安定法2および3条が国籍による差別的取り扱いの禁止をしておりますので明らかに、違反していることになります。
 さらにはより高所から見ますれば、憲法第14条 法の下の平等、22条 職業選択の自由にも抵触するものです。
  1996年には川崎市が廃止に踏み切るについては、自治省との息詰まるような交渉を経て勝ち得たものだと聞いております。しかし、10年経過したいま、制令指定都市全て外国籍住民が受験できるようになりました。最後の堺市では 全くの任用制限なしの国籍条項撤廃が実現しています。ここに至り、川崎市の先験的な役目は終わりを告げています。いまや、当時からあった明文化した任用制限を撤廃する次期がきています。
  この任用制限は、「当然の法理」それを踏まえた「公務員の基本原則」などというものに基づいていると思われますが、これらの「理論」? もその役割を終えております。
 考えても見てください。公権力の行使といいますが、警察権力の行使としての駐車違反摘発は既に民間が行っています。また、刑務所機能も民間委託へ移行する論議もされております。
 片や、公の意思の形成としては、むしろ外国籍住民の意思が尊重され、各地の住民投票で外国籍住民の参加が当然視されてきております。川崎市におかれましても、「外国人会議」のようなもので外国籍住民の意見をどう反映させるか腐心されているところです。
 「川崎方式」のあとでも我々が住む福井県の武生市(旧)で市長と職員の努力で任用制限がない形の国籍条項撤廃が実現しています。
 市政の公権力は市長に収斂するものとして考えられ、責任は市長がとるということです。実例に則して言えば、川崎市では環境衛生監視、食品衛生監視、産業廃棄物等の監視は公権力の行使とありますが、これらの実務は法令、条例、規則に則って行われるもので、何も外国籍職員が行うから特別のことをするとは考えられません。その責任は市長がとればよいのです。
  川崎市は全国から注目されています。ひとり、川崎市のみの問題に限りません。真の国籍条項撤廃を川崎市がいつ行うか全国から注目されています。川崎方式としてその名をとどろかしましたが、消え去るべきものです。明文化された「運用規定」は今となっては、その存在すら消え入りたいものと化しているのではないでしょうか。
  安部市長が英断をもってこの問題に取り組まれることを期待しています。私達の団体にも川崎市の住民が一人おります。また川崎市に親戚、友人、外国籍の友人、知人が大勢おります。以下の質問に回答をお願い致します。

 公開質問状

 1 川崎市現在 住民投票制度を検討中のようですが、投票資格に外国籍住民が入ることを評価されますか。
2 現在の「外国籍職員の任用規定」が存在している意味は何でしょうか
 3 2の運用規定を廃止し、真の「国籍条項廃止」にするお考えはありますか。
 

 

 回答

平成19年3月9日
川崎市長  阿部 孝夫
1 外国籍職員につきましては現在19名在籍しております。
2      外国籍職員が就けない職およびライン職は職員全体の約20%となっております。
3      現在検討中の住民投票条例の中で、外国籍住民が投票資格に入ることは、市政に関わる重要事項について直接、住民としての意思を確認するために有意義だと考えております。
 4 「外国籍職員の任用に関する運用規定」は外国籍職員の配置、移動昇任、についてそれぞれ配置可能な職域、ポストを明らかにし、任用を保障する物です。
 5 基本的にはこれまでの本市の姿勢を変更する考えはございません。
 

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