国籍条項---福井県では  石川・富山県では

 私たち「在日外国人の参政権を考える会 福井」は1997年から、国籍条項について取り組み始めました。
 

 福井県内の地方自治体における国籍条項は、あわら市以外はすべて撤廃されました。

 石川県ではかほく市が国籍条項を全廃しました。(2007年採用から)

1.福井県の現状

2.石川県の現状  2010年

         2007年(参考)

3.富山県の現状  2007年
4公開質問状の回答
5.(旧)武生市の職員採用要件見直し 報告書

 
 

1.福井県の現状

 福井県では、ようやく1999年鯖江市と武生市で廃止となりました。清水町も国籍条項が有りませんでした。

 
  このたびの町村合併により、新たに国籍条項を廃止した市(坂井市)や町(越前町)がありますが、残念なのは坂井市で任用条件を設けたことです 
 
 

各自治体の撤廃の経過について

 武生市(旧)では2000年採用試験からは 全てに国籍条項を撤廃しました。対象者は定住者も含まれます。当分の間任用に制限をつけるとしていますが、原則的 には制限を付けていません。いわゆる川崎方式(当然の法理又は言いかえた公務員の基本原則による制限を設けた方式)が出てきて以来制限を付けることが多く なった自治体がほとんどの中で、それを否定した画期的なものです。

 旧武生市は今立町と合併して(2006年)越前市となり国籍条項撤廃は従来通りです。

鯖江市でも2000年採用試験から全てに国籍条項撤廃しました。対象者は永住者に限られます。

   20002年、福井市、敦賀市、さらに小浜市も廃止しましたが、対象者は永住者のみで、おなじく「公権力の行使」「公の意志の形成」に携れないという任用制限がつきます。

 言い換えると、採用されても就けない職種があり、管理職になれないということです。

 丸岡町(旧)では2002年4月採用から 全く任用制限のない完全撤廃がされていました。 丸岡町も合併してできた坂井市は旧丸岡町の精神を引き継ぎ、国籍条項はもうけませんでしたが、管理職に就けないという任用条件をつけました。

2004年 大野市は国籍条項を廃止(消防職は残る)。勝山市も廃止しています。

その後、町レベルで撤廃が進み、2008年の採用試験から県内の町ではすべて国籍条項がありません。


国籍条項

市町村 国籍条項の
有無
受験に制限のある職種
撤廃された職種
制限された職種の職員の割合% 今後の方針または
任用制限
外国籍
職員数
福井県
一般事務職、行政(国際)警察事務薬剤師、福祉・心理、農業、水産、土木(総合)建築、機械・金属、電気、化学、鑑識、高分子工学、情報処理、繊維、紡績、警察官、少年警察補導員、交通巡視員、原子力
小中学校事務、司書、臨床検査技師、栄養士、速記、医師歯科医師、看護師、准看護師、保健師、助産師、診療放射線技師、保育士、児童自立専門員、児童生活支援員、寮母、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、歯科技工士、視能訓練士、聴能言語訓練士、はり・きゅう士、按摩マッサージ指圧師、柔道整復士、言語聴覚士、獣医師、生物工学、地学、漁業取り締まりを除く船 長・航海士・機関長・機関士・船舶通信士、無線通信士、無線技術士、特殊無線技術士、職業訓練指導員、地学、窯業、計量、武道指導員、逮捕技術員、体育振興主事、デザイン、自然保護、操縦士(警察を除く)、航空整備士、電子情報工学、学芸員、文化財調査員、古生物学、技能労務職、
66%
医療技術系を中心とした学術的、専門技術的な職種での撤廃してきた。
さらに検討してゆきたい。
10名
越前市
なし
なし
全職種
0
採用後任用の制限項目はない
0
鯖江市
なし
なし
全職種
0
個々の判断
0
福井市
一部あり
消防職
消防職以外
13.5
受験資格 永住者任用制限あり。状況を見ながら判断する
0
敦賀市
なし
なし
全職種
0
 *注
1
大野市
一部あり
消防職
一般職
業務職
12,5
任用制限は未定
0
勝山市
なし
なし
全職種
0
なし
(口頭で)
0
小浜市
なし
なし
全職種
0
受験資格 永住者
任用制限は個々に判断
0
あわら市
一般行政職、消防職
保育士、技能労務職、司書
55
廃止する考えは全くない
0
坂井市
なし
なし
全職種
0
管理職には登用しない
0
永平寺町
なし
なし
全職種
0
0
越前町
なし
なし
全職種
0
0
池田町
なし
なし
全職種
0
0
南越前町
なし
なし
全職種
0
0
美浜町
なし
なし
全職種
0
0
若狭町
なし
なし
全職種
0
0
おおい町
なし
なし
全職種
0
0
高浜町
なし
なし
全職種
0
0

*注 公権力の行使に該当する職務または公の意思への参画に携わる職以外の職に任用

2008年 6月 当会調べ



 
 2 石川県の現状   2010年 6月

国籍条項を全廃した市町がふえています。

自治体名 国籍条項の有無 廃止した職種 制限のある職種 その他
石川県   一部 外国籍採用実績あり 公表しない
穴水町       回答なし
内灘町 全職種    
加賀市   一部  
金沢市   一部  18職種中13職種は制限ない
かほく市 全職種    
小松市   一部  9職種中6職種は制限ない
川北町     全職種  
志賀町 全職種    (当会調べ)
珠洲市 全職種     (当会調べ)
津幡町 全職種    
中能登町 全職種    
七尾市   一部 6職種中1職種制限ない
能登町 全職種    
野々市町   一部 7職種中2職種制限ない
能美市   一部 医療職制限なし
羽咋市  有   一部 10職種中8職種
白山市   一部 13職種中9職種制限なし
宝達志水町 全職種   (当会調べ)
輪島町   一部 6職種中5職種制限なし

                           国籍条項撤廃を求める会・石川 調べ

                           (当会=在日外国人の参政権を考える会 福井)

 

参考に2007年調べの表を掲げておきます。かなりの多くの自治体で国籍条項の撤廃が進んできたことが

わかるでしょう。

 20007年の状況

    市町村 国籍条項の有無 受験に制限のある職種 撤廃された職種 制限された職種の職員の割合% 今後の方針または任用制限 外国籍職員数
    石川県
    一般行政職
    行政、心理判定員、機関士、航海士、機械、化学、農業、畜産、農業土木、林業、水産、土木、建築、造園、電気、総合土木、医師(行政)、歯科医師(行政)、薬剤師、獣医師
    研究職員(水産総合センター、林業試験場、九谷焼、試験場、のと海洋ふれあいセンター、農業総合研究センター工業試験場)学芸員、臨床検査技師、臨床放射線技師、(管理)栄養士、理学療法士、作業療法士、あんまマッサージ指圧師、ソーシャルワーカー、臨床工学技士、保育士、言語聴覚士、歯科衛生士、歯科技工士、職業訓練指導員、保健師、助産師、看護師、大学教員、医師、歯科医師、福祉指導員技能労務職
    60
    門戸を広げるのが望ましいが「公権力行使等地方公務員」に該当すると考えるものは制限を続ける
    有。 公表しない
    金沢市
    一般行政
    土木、機械、電気、調理員、薬剤師、
    保育士、看護師、臨床工学技師、
    24
    研究中
    0
    白山市
    (不明)
    25
    0
    小松市
    一般行政
    右以外全て
    保健師、看護師
    国の考えに準ずる
    加賀市
    一般行政
    保健師、学芸員
    県や近隣の動向をみたい
    0
    かほく市
    全職種
    0
    0
    羽咋市
    全職種
    100
    今後検討するつもりはある
    七尾市
    全職種
    100
    一般・技術職は廃止しない。検討しない。
    輪島市
    一般行政
    保育士、看護師、理学療法士、作業療法士
    県や近隣の動向をみて
    能美市
    一部廃止
    (内容不明)
    46
    国際化に伴い外国人に門戸を開く必要がある
    0
    珠洲市
    全職種
    100
    医療職について検討したい
    内灘町
    全職種
    近隣の動向をみる
    0
    川北町
    100
    未調査
    志賀町
    津幡町
    全職種
    0
    0
    中能登町
    全職種
    0
    能登町
    全職種
    技術職から撤廃を検討する可能性あり
    野々市町
    一般事務職
    保育士
    78.2
    現状通り
    0
    宝達志水町
    全職種
    100
    穴水町
    全職種

    2007年 4月30日 国籍条項を求める会・石川 と一部当会調査



    3 富山県の現状 2007

    一部未回答があります

    市町村 国籍条項の有無 受験に制限のある職種 撤廃された職種 制限された職種の職員の割合% 今後の方針または任用制限 外国籍職員数
    富山県
    一般行政職および技術職(右以外)
    管理栄養士、保育士、歯科衛生士、歯科技工士、理学療法士、作業療法士、看護師、保健師、助産師、介護職員、職業訓練指導員、大学教員
    79
    質問状答え参照
    2名
    富山市
    1一般行政職および技術職、2獣医師、3薬剤師、4消防士
    左記の1〜4以外の職種
    50
    それぞれの職種に検討を加えてきた
    4名
    魚津市
    全職種
    100
    滑川市
    全職種
    100
    黒部市
    全職種
    100
    高岡市
    一般職
    専門職
    技能労務職
    49.6
    従来通り
    0
    射水市
    一般行政、技師、消防
    左記以外
    61.6
    現状維持
    0
    小矢部市
    全職種
    100
    未定
    0
    砺波市
    一般行政
    一般事務職をのぞく前職種
    27.8
    県や近隣自治体の動向を見る
    0
    氷見市
    一般行政、技師(土木、建築)、消防
    保育士、医療職(医師、医療技術員、看護師)技能労務職
    56
    国および県の考え方を参考
    0
    朝日町
    全職種
    100
    国および県多市町村をみる
    0
    入善町
    全職種
    100
    検討してゆきたい
    0
    上市町
    舟橋村
    全職種
    0

    07.3.30 新谷氏と当会調査




    4 国籍条項に関する公開質問状の回答  

                こちら



5 武生市職員採用要件見直し研究会報告書

 

武生市
平成11年4月

 

    外国籍職員の任用に関する考え方

    はじめに

     
    地球規模で人、物、情報等が行き交い、国際的な相互依存関係がますます深まってきている現在、武生市は、「世界に聞かれた都市・武生」づくりに努めている ところであることから、外国人に公務就任の機会を広げることは、本市にとって有意義なことであり、また、国籍にかかわらず優秀な人材を確保することは、地 方分権時代に対応できる織員を育てる上にも必要不可欠なことであると考えられる。
     

     
     しかしなから、内閣法制局の見解に基づき、公務就任については、当然の法理により日本国籍が必要であるという見解から、外国籍の人々の採用を拒んでき た。

     こうした状況の中、平成8年11月白川自治相は、就任できるポストに一定の制約を
    付ければ、一般職に外国人を採用することは可能との考えを表明。
     公権力の行使、公の意思形成の参画に推わる公務員に日本国箱が必要であることは、地方公務員でも同様と当然の法理の合理性を認めた上で、単に国籍条項を 外すことでは、人事運用の面で支障が生じ季という見解を示した。その一方で、外国人を本人の同意の上で、一定の制約の下に採用することは、その自治体の人 事行政の間題として当然の法
    に抵触しない範囲での任用上いう一定の制約付きならば、一殻職に外国人を採用できるとの考えを明らかにした。
     
     また、平成9年11月東京都庁国籍任用差別撤廃訴訟の東京高裁判決によると、国民
    主権の原理に反しない限度において、我が国に在住する外国人が公務員に就任することは、無法上禁止されていないものと解すべきであるとしている。
    これらのことから、地方自治体における国籍条項撤廃に対する取組みは全国的な流れになってきており、本市においても、公務員に関する基本原則を踏まえつ つ、外国籍織員の任用を進めていく必要があると考える。
     

     結輪

     外国人の公務就任については、拒杏することの法的根拠がない中で、当然の法理をよりどころに外国人の公務への就任を妨げてきた、しかし、当然の法理は、 あまりにも抽象的であり妥当性がないと考えられる。
    このことから、全国的な国籍条項撤廃の流れの中で、武生市としても、国籍条項の壁を取り除くことが望ましいと考える。
     
     
     

    理由

     外国人の公務への任用について考えられる基本は、国民主権の原理(国政の基本的な方向を決定するのは日本国民である)と国際化社会との両立をどこに求め るかである。
     外国人には任せずに、どうしても国民がやらねぱならない職務というのは、主権または統治権を行使する意味を持つ職務であるとするならば、その職務を果た すのは,広く国政に関する一定の事項について国または地方公共囲体の意思を決定・表示する権限を行使する機開すなわち公権力を行使する機関であると考え る。
     行攻についていえぱ、公権カを持つ機関は行政庁である、行政庁とは、行政主体の意思または判断を決定し、これを私人に表示する権限を持つ機関であり、例 えぱ首相、大臣、国会議員、裁判官、都道府県知掌、市長村長など機関の責任者をいうことから、当然の法埋の基本はここにおくことがもっとも妥当ではないか と考える。
     また、地方自治法第147条において、普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体を統轄し、これを代表する。とあり一般職地方公務員については、市 民全体の奉仕者としての職責を自覚し、法令、条例,規則等及ぴ上司の職務上の命令に従い、誠実公正かつ能率的に職務を遂行しなければならないが、あくまで 普通地方公共団体の長を補佐、補助するものである。
     公権カの行使、公の意思の形成への参画について、研究を重ねてきたが、最終的には、上記のことを根拠とするならば、一般職地方公務員への外国人の採用に ついては、閉放することについて間題となるものは見つからなかった。
     また、条件付き採用については、一般織として同じスタートラインに並んだ職員に、配置や任用で差が出る遅用は好ましいものとは思われない。
    しかしながら、地方都市特有の閉鎖的感情が存在する中で国際化時代の共生共存について現実とのギャップが市民の中にあることも否めない、市民の感青や世問 の風評を熟慮し、慎重に対応すべきであると考える。
     
     
     

    対象となる外国人の範囲

     日本国籍を有しない職員の採用については、「世界に開かれた都市・武生」づくりを進めるため、外国人の公務就労の機会をできる限り広げ、国籍を間わず優 秀な人材を採用していくことが必要なことから、在留賛格により就労制限が課せられていない人、具体的には、外国人登録法による外国人登録がなされている人 で、出入国管理法別表第2の在留資格(永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)を有する者及び特別永住者(日本国との乎和条約に基づき日本 の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特別法第3条)を対象にすることが望ましいと考える。