はじめに 地球規模で人、物、情報等が行き交い、国際的な相互依存関係がますます深まってき ている現在、武生市は、「世界に聞かれた都市・武生」づくりに努めているところで あることから、外国人に公務就任の機会を広げることは、本市にとって有意義なこと であり、また、国籍にかかわらず優秀な人材を確保することは、地方分権時代に対応 できる織員を育てる上にも必要不可欠なことであると考えられる。 しかしなから、内閣法制局の見解に基づき、公務就任については、当然の法理によ り日本国籍が必要であるという見解から、外国籍の人々の採用を拒んできた。
こうした状況の中、平成8年11月白川自治相は、就任できるポストに一定の制約を 付ければ、一般職に外国人を採用することは可能との考えを表明。 公権力の行使、公の意思形成の参画に推わる公務員に日本国箱が必要であること は、地方公務員でも同様と当然の法理の合理性を認めた上で、単に国籍条項を外すこ とでは、人事運用の面で支障が生じ季という見解を示した。その一方で、外国人を本 人の同意の上で、一定の制約の下に採用することは、その自治体の人事行政の間題と して当然の法理に抵触しない範囲での任用上いう一定の制約付きならば、一殻職に外 国人を採用できるとの考えを明らかにした。
また、平成9年11月東京都庁国籍任用差別撤廃訴訟の東京高裁判決によると、国民 主権の原理に反しない限度において、我が国に在住する外国人が公務員に就任するこ とは、憲法上禁止されていないものと解すべきであるとしている。これらのことか ら、地方自治体における国籍条項撤廃に対する取組みは全国的な流れになってきてお り、本市においても、公務員に関する基本原則を踏まえつつ、外国籍織員の任用を進 めていく必要があると考える。
外国人の公務就任については、拒否することの法的根拠がない中で、当然の法理を よりどころに外国人の公務への就任を妨げてきた、しかし、当然の法理は、あまりに も抽象的であり妥当性がないと考えられる。 このことから、全国的な国籍条項撤廃の流れの中で、武生市としても、国籍条項の壁 を取り除くことが望ましいと考える。 理由 外国人の公務への任用について考えられる基本は、国民主権の原理(国政の基本的 な方向を決定するのは日本国民である)と国際化社会との両立をどこに求めるかであ る。 外国人には任せずに、どうしても国民がやらねぱならない職務というのは、主権ま たは統治権を行使する意味を持つ職務であるとするならば、その職務を果たすのは, 広く国政に関する一定の事項について国または地方公共囲体の意思を決定・表示する 権限を行使する機開すなわち公権力を行使する機関であると考える。
行攻についていえぱ、公権カを持つ機関は行政庁である、行政庁とは、行政主体の 意思または判断を決定し、これを私人に表示する権限を持つ機関であり、例えぱ首 相、大臣、国会議員、裁判官、都道府県知掌、市長村長など機関の責任者をいうこと から、当然の法埋の基本はここにおくことがもっとも妥当ではないかと考える。
また、地方自治法第147条において、普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共 団体を統轄し、これを代表する。とあり一般職地方公務員については、市民全体の奉 仕者としての職責を自覚し、法令、条例,規則等及ぴ上司の職務上の命令に従い、誠 実公正かつ能率的に職務を遂行しなければならないが、あくまで普通地方公共団体の 長を補佐、補助するものである。 公権カの行使、公の意思の形成への参画について、研究を重ねてきたが、最終的に は、上記のことを根拠とするならば、一般職地方公務員への外国人の採用について は、閉放することについて間題となるものは見つからなかった。 また、条件付き採用については、一般織として同じスタートラインに並んだ職員 に、配置や任用で差が出る遅用は好ましいものとは思われない。 しかしながら、地方都市特有の閉鎖的感情が存在する中で国際化時代の共生共存につ いて現実とのギャップが市民の中にあることも否めない、市民の感青や世問の風評を 熟慮し、慎重に対応すべきであると考える。
対象となる外国人の節囲 日本国籍を有しない職員の採用については、「世界に開かれた都市・武生」づくり を進めるため、外国人の公務就労の機会をできる限り広げ、国籍を間わず優秀な人材 を採用していくことが必要なことから、在留賛格により就労制限が課せられていない 人、具体的には、外国人登録法による外国人登録がなされている人で、出入国管理法 別表第2の在留資格(永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)を有 する者及び特別永住者(日本国との乎和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出 入国管理に関する特別法第3条)を対象にすることが望ましいと考える。