福井市長選候補者への公開質問状

1、定住外国人に地方参政権を保障することをどのようにお考えですか。
2、地方公務員採用に国籍条項が設けられていることについてどのようにお考えですか。
3、福井市では現在、国籍が必要とされないのは現業職の一部のみですが、今後一般職を含め全ての職種について国籍条項を撤廃されるお考えはありませんか。
4。在日外国人の、とりわけ定住外国人の声を市政は現在市政に反映されているとお考えですか。また今後反映させていくための具体的施策があればご紹介ください。
 
 
 

酒井 哲夫氏の回答(1998年2月13日)

1.定住外国人の地方参政権につきましては、現在の法において「日本国民が選挙権を有する」と規定されておりますので、地方独自でその権利を認めることができるものではないと考えられます。
しかし、納税義務を有するなど、居住する地域の地方公共団体と緊密な関係を以ていることを考慮しますと。定住外国人の意志がその日常生活に密接な関連を有する公共団体に反映されることは必要だと考えております。
2自治省は「当然の法理として、公権力の行使や公の意思形成への参加に携わる公務員には日本国籍が必要」という、昭和53年の内閣法制局の見解を根拠として、外国籍職員の任用はできないとの考え方を示してきました。
自治体としては、この考え方の通知を受けて、対応してきたところであります。
ところが平成8年11月には自治大臣が「国籍条項が当然の法理とは思わないが、国籍条項をはずす・はずさないの基準としては。公権力の行使や公の意思形成がゆがめられるかどうかを判断すべきである」との談話を発表し、外国籍の採用が可能な職種の範囲のの拡大を示唆しました。
今後 国の考え方や県の指導を尊重しながら、自治体独自で判断すべきことについては、慎重に対応していく必要があると考えております。
3.福井市では、すべての現業職員の採用については国籍条項を撤廃しております。その他の職員(一般職)については国籍条項をはずしておりません。
ご指摘のとおり、高知県・川崎市など国籍条項をほぼ撤廃した自治体や、一部を撤廃した自治体があることは十分承知をいたしております。
ところで、これらの自治体においても国籍条項は撤廃したものの、採用後の管理職への登用について制限を加えている自治体もあり、その是非について議論がなされているところでございます。
これらの状況を十分踏まえるとともに、国や県の指導を仰ぎながら、職種の内容等を十分考慮するなかで、慎重に対応していきたいとかんがえております。
4.国際化の伸展に伴い、福井市におきましても在住外国人の方々は近年増える傾向にありますが、こうした傾向を踏まえ、福井市では異なる価値観や生活週間を有する外国人の住民であるとの視点にたち、在住外国人の方々と共生することのできる開かれた地域社会を目指しています。
4 具体的には、平成8年7月に発足しました福井国際交流協会内に地域国際化部会が設置されていますが、地域の国政かをになう地域各界の代表者と共に、在住外国人の方々も参加されており、相互交流と相互理解に向けた種々の取り組みがなされつつあります。
また行政としては来庁される外国人の方の相談窓口として国際交流課を担当窓口と位置付け、主に日常生活に拘わる諸問題について関係部署と連携しつつ対応しております。
福井市の国際化施策は、未だけっして十分と言える状況にはありませんが、今後とも適切な国際化施策を検討して参りたいとかんがえています。
 
 
 
 
 

会のコメント

 両氏とも定住外国人が国籍条項によって公務員への道を閉ざされている事が、重大な人権侵害であり差別であるとの認識が薄い。酒井氏の回答は「お役所的発想」で、主体的な姿勢が完全に欠落している。また質問4は定住外国人への具体的施策を問うているが、短期在留者への施策のみを述べ、議論をすり替えている。
五十嵐氏の回答は地方参政権国籍条項撤廃についての一定の積極姿勢があるが具体的内容が不明確。また地方公共団体に「国家主権のあり方」に関わる「意思形成参画」が問題になるのか理解できない。定住外国人への幾つかの具体的施策についてはこれらの問題解決のために是非実現してほしい。