津山篤/ HENRY THE HUMAN HORSE

FMC-007 5月25日発売 定価2800円

 想い出波止場、PUGS、赤天、大陸男対山脈女、O.A.D.等、数多くのグループで活動している津山篤の初ソロ作品。彼のトラディショナル・ミュージックの知識、及び受けた影響の深さは、つとに有名だが、(想い出波止場や大陸男対山脈女のアルバムでも所々、見えかくれしている)今回のソロは、津山の手によるフェイク・トラッドで全曲がしめられている。
 数多くのバンドではベースで参加している津山だが、今回ベースは一回も手にしていない。アコースティック・ギター、ブズーキー、それに、正体不明の謎の楽器(KITARNO LOVE MACHINE等)を手に、殆どの曲でヴォーカルに専念している。
 地中海地方の音楽風の曲、アイルランド風の曲、どこの国か判らないがどこかの’トラッド風の曲、はたまた、スリッパを使った不思議な曲まで、バラエティにとんだ曲の数々は、想い出波止場や赤天での津山からは想像もつかないものだ。超豪華なゲストと共に作り上げたこのCDは、全編を通して、謎の叙情美で満ち溢れている。
 カヴァー・アートも全て津山の発案による。表ジャケットとアルバム・タイトルは、彼の一番敬愛するアーティスト、リチャード・トンプソンのファースト・アルバムのパロディであり、裏ジャケットはグルグルへ、さらにCDの盤面は、数多くの名作プログレ作品を出していた頃のヴァージン・レコードへ捧げられている。

 ゲスト・メンバー

◆安紀 VOCAL
安紀 (久保田安紀)はボンデージ・フルーツ、高円寺百景等、数多くのグループで活躍している。クラシックの声楽の教育を受けながらも、ロック・スピリッツを持ち合わせたそのヴォーカルは、声量の豊かさ、音域の広さ共々、文句なくナンバー1である。
◆勝井裕二 VIOLIN
ボンデージ・フルーツ、DEMI SEMI QUAVER等をメインに数多くのバンド、セッションに参加。自らも、レーヴェル「まぼろしの世界」を主宰する。今回の津山のアルバムでは殆どの曲に参加している。
◆船戸博史 BASS
サイツ、O.A.D.、ビジリバ、スーパー・シリアス等々、数え切れないほどのバンドで活動。ノイジーなエレキ6弦ベースの演奏でも知られるが、今回はアコースティック・ベースのみで参加。
◆芳垣安洋 DRUM/ PERCUSSION
アルタード・ステイツを中心にサイツ、GROUND-ZERO等で活動。もはやジャズ系のドラムでは日本ナンバー1の声も高い。
◆吉田達也 WARDS
もう‘RUINSの”という注釈はいらないほど精力的に活動している吉田達也は、今回歌詞でのみ参加。津山によると、歌詞による吉田達也の参加は「長年の夢」だった。
◆吉田文夫 HURDY-GURDY/MELODEON
関西在住の吉田文夫は、自己のトラディッショナル・バンド「シ・フォーク」で長年活動している。アルバムも2枚発表している。民族楽器の数少ない使い手として、多くのセッションやレコーディングに参加。

  津山篤

関西で数多くのバンドに参加後、88年に「想い出波止場」に参加。当初はフォーク・ロック系の音であった「想い出波止場」は、津山の参加後、現在に近い音に変わっていった。「想い出波止場」がライヴからレコーディングへ活動の中心を移していくのにつれて、津山も関東と関西をまたにかけ、他に、90年代プログレッシヴ・グループ、「大陸男対山脈女」、吉田達也との「赤天」、ノイズ・トリップ・ホップ・バンドの「O.A.D.」、そしてベーシストとして新加入した「PUGS」等々がある。プログレやトラッドに対する造詣の深さ、確かなテクニックに裏打ちされたプレイ、津山独特の特異なキャラクターは、参加バンドの音に全て反映されている。
津山は山小屋を持っていることでも有名であり、夏期の2ケ月間は全ての音楽活動を停止し、毎年、山へ戻っている。

◇主な参加アルバム◇

想い出波止場  大音楽
        水中ジョー
        ブラックハワイ  /以上アルケミー・レコード
        LIVERS&GIGERS /JAPAN OVERSEAS
MANTAKO /PUBLIC BATH
金星       /WEA JAPAN
RUINS波止場  RUINS波止場
赤天      1st
2nd /以上 磨涯仏
大陸男対山脈女 PERFECT HELL /SSE
O.A.D. DAYTONA /F.M.N.SOUND FACTORY
          他多数

 曲目解説

◆1.木々は笑う by TSUYAMA
 いわゆる、地中海風サウンド、地中海でありながら、何故かホーミーも飛び出す。この曲はヴォーカルとギターが先に録られ、あとでヴァイオリンとリズム・トラックを録音するという無茶な手段でレコーディングされたもの。
◆2. Saggilom Suaij by TSUYAMA
 吉田達也作詞による美しい曲。津山は安紀のヴォーカルのために、これと次の曲を作った。安紀の存在はこのアルバムにとって要となった。
◆3. Damian Maca Damian by TSUYAMA
 2曲目と同様、安紀のヴォーカルによる美しい曲。バックでのノイジーな音は謎の楽器「ラヴ・マシーン」による。
◆4.Caro by TSUYAMA、AKI
 津山と安紀のツイン・ヴォーカルによる、あらゆるトラッドのエッセンスを集めた様な曲。ここでも謎の楽器、Zarileik Bagpipeが登場する。
◆5. ソエ
 またもや謎の楽器、Kitarnoによる津山のソロ演奏。
◆6.Slipper by TSUYAMA
スリッパの摩擦音をループにして、それを元にしてゲストが音を加えていくという方法で録音されたもの。なんとも不思議な曲に仕上がった。
◆7.Fleg morne by TSUYAMA
 ブルターニュ地方風トラッド。フェイク・トラッドの真骨頂ともいえる作品。巧みなアレンジにより豊かなイメージのわきあがる曲となった。
◆8.木々は笑う Part2 by TSUYAMA
 マウロ・パガーニの名作「地中海の印象」に捧げられた曲。アルバムの最後にふさわしい静謐な曲。

CDに関するお問い合わせは;
PARALLAX RECORDS
京都市下京区仏光寺通新街町西入る

管大臣町201ハイツエクラ103
エ&fax (075)344-0075

←F.M.N.のINDEXへ